【加齢黄斑変性】加齢などの影響で網膜の中心(黄斑部)が変性してしまう病気
加齢黄斑変性は、文字通り加齢などの影響で網膜の中心(黄斑部)が変性してしまう病気です。見ようと思うところが歪んで見えたり、視力低下を起こして自覚されます。
原因は網膜の裏側の層の脈絡膜に新生血管ができ、そのせいで網膜が剥離したり出血を起こしたりします。
[進行した加齢黄斑変性]
視力は0.03に低下しています。ここまで進行する前に受診してもらいたかった症例です。
治療の選択肢が広がっています
治療方法には、レーザー光凝固、光線力学的療法(PDT)、新生血管を抑えるお薬(抗VEGF薬)を注射する方法があります。レーザー光凝固は、病変が網膜の真ん中にない場合に行います。
光線力学的療法(PDT)は、新生血管に取り込まれる光感受性物質を点滴してレーザー照射するというものです。この治療で加齢黄斑変性の進行をある程度抑えることができるようになりました。
現在第一選択の治療は、新生血管を抑えるお薬(抗VEGF薬)を注射する方法です。近年新しいお薬が次々に認可され、治療の選択肢が広がりました。現在マクジェン、ルセンティス、アイリーア、ベオビュという4種類のお薬が使用できます。
一般的にはいずれかのお薬を月1回、連続3ヶ月注射し、その後は悪化したら再注射します。高価なお薬ということと繰り返しの投与が必要ということが難点ではありますが、以前はあきらめざるを得なかった患者さんもだいぶ良くなるようになってきました。
生活改善が最も大事です
以上のように新しい治療法も行えるようになってきましたが、現状ではまだ完全な治療法はないので、予防が最も大事です。
まずはたばこをやめること、脂肪分の高い食事を避けること、血圧を下げることです。ビタミンや魚は良いので、昔の日本の食生活に戻すことをお勧めします。
ただし、進行した加齢黄斑変性ではこれらの治療を行っても悪化する場合がありますので、手遅れにならないうちに早めに受診されて下さい。