【ドライアイ】症状は「眼が疲れやすい」というのが一番多い
ドライアイとは、さまざまな要因により涙や眼の表面に異常を来す病気です。「私は涙もろいからドライアイではないわ」なんてことをおっしゃる患者さんもいますが、それは関係ありません。
涙は悲しいとき、痛いときなどにももちろん出ますが、意識されていないだけで涙は普段から分泌されています。この普段から分泌されている涙の量が少なかったり、涙はちゃんと出ていても安定性が悪くてすぐに涙の層が壊れてしまう人はドライアイと診断できます。
症状は眼が疲れやすい、というのが一番多く、眼が乾くと感じている方はごく一部です。その他にも充血する、コロコロする、ショボショボする、逆に涙が出るという方もおり、症状はとにかく多彩です。
原因もさまざまですが、高齢化、コンタクトレンズの装用者の増加に加え、最近はケータイでメールをしたり、パソコンやテレビを見たり、エアコンの効いた部屋に長時間いたり、とドライアイには良くない環境になったことで患者数は大変多くなっています。
従来の治療は人工涙液やヒアルロン酸の目薬をさすことくらいでしたが、最近新しい目薬が使えるようになり、治療の選択肢が広がりました。ジクアスやムコスタUDという点眼液です。これらの目薬には、涙を構成する水分やムチンの分泌を促すはたらきがあります。人工涙液やヒアルロン酸の目薬をさしても症状が改善されない方はぜひご相談ください。それでも効果が不十分な方には涙点プラグを挿入したり、液体コラーゲンを注入するという方法もあります。
涙は上まぶたの外側にある涙腺から分泌され、眼の表面を潤し、目頭にある小さな孔(涙点)から排出されます。そしてまばたきにより涙は眼の表面全体に塗り付けられるようになっています。涙点プラグは涙の排水孔(涙点)を塞ぐものですので、塞いだらそのぶん眼の表面を潤す涙の量が増えるというわけです。液体コラーゲンも涙点プラグと同様の作用で効果を発揮しますが、2〜3ヶ月で分解されますので、繰り返しの投与が必要になります(逆に安全性が高いともいえます)。
まぶたや結膜の異常のせいでドライアイになっていることもありますので、そのような方には原因に応じて治療していきます。
[ドライアイの方の目]
特殊な染色液で染めて青いフィルターを透かしてみると、角膜の表面の傷が緑色の染まって見えます。
[涙点プラグを挿入したところ]
非常に小さなものですので全然目立ちませんし、プラグを入れても違和感のない方がほとんどです。外来ですぐに入れることができます。この治療に抵抗感がある方には、液体コラーゲンを注入するという方法もあります。
生活改善も重要
症状を改善させるにはこのような治療だけでなく、ご自分で生活環境を改めることも重要です。例えば、加湿器を使う、エアコンの風が直接顔に当たらないようにする、テレビやパソコンのモニターの位置を下にする、などです。
実を言うと私もドライアイです。診療の合間に目薬をさしつつ診察しています。ドライアイの方の不快感は理解できるつもりですので、お気軽にご相談ください。